2009年5月28日木曜日

h21.5.28 「自信」ということについて


 神戸新聞に、「ずっと家族がほしかった」という特集記事があります。児童相談所編が、坂口絋実記者によって書かれています。
 児童相談所の職員の仕事の重要さと過酷さ、そして家庭というものの惨状が、実によくわかる興味深い特集で、毎回楽しみにしています。
 5月28日(木)の特集は、「学習-生きる自信をつけるため 小さなことでもマル」と題したものです。
 この記事の要旨のまとめが、「自信」というものについて述べることになります。以下、読んでみてください。
 児童相談所に、一時保護所があるそうです。ここでは、保護され外出を禁じられている子どもたちに対して、午前と午後合わせて3時間の学習時間を設けています。学習指導員、児童相談員、保育士が勉強を教えています。
 今春保護された中学校1年生の男子のことが書いてあります。記者に算数を教えてくれといってきたことをきっかけにして、記事が書かれています。
 この子が幼い頃に両親が離婚しました。精神的に不安定な母から虐待を受けたことがあります。寝込むことの多かった母と、仕事で帰りの遅い継父と暮らすようになっていました。小学校2年生の時に妹が生まれて、妹の世話を見るうちに、学校に通えない日が増え、勉強についていけなりました。彼は自分に自信を持てず、何をしても長続きしない。「どうせ無理」が口癖になっていました。
 児童相談所の学習の時間では、彼は中学1年生なのに、小学校クラスで、三桁の引き算問題をやっていました。教えてやり、正解した答えに丸をつけてやると、笑顔とVサインを返してくるかわいいところのある子です。
 この子は1ヶ月で九九を習得しました。この頃、児童相談所は、この子を児童養護施設へ入所させることを決めていました。一時保護所を出る前日、学習指導員は九九を書いた単語帳を彼に贈りました。彼は「これ施設に持っていってええ?」と言いました。とても気に入ったようです。記者は、この単語帳が彼のこれからの人生の支えになるだろうと書いています。
 記事は最後に、児童相談所の職員の思いは次のようなことだと締めくくっています。

 「ここではどんな小さなことでもマルをあげるんです。生きる自信をつけるために」 
(2009.5.28)
写真  校長室の花